先日のあえのことツアー、櫻田酒造の見学コースもありましたよ。
ちょうど新酒の仕込み時期です。
櫻田酒造さんは、以前、能登スタイルで取材しています。
珠洲市蛸島にある小さな酒蔵ですが、地元消費率は9割以上!
ちょうど東京からの見学ツアーも一緒で、酒蔵は人でいっぱい。
若き社長、櫻田博克がおもしろおかしく解説してくれます。
ちょうど仕込み中のタンクです。
プチプチ、ポコポコ音をたてながらおいしいお酒になるために発酵中。
今回は、お楽しみで発酵途中の工程でできる甘酒づくりを体験。
はい、ザルで濾すのみ、という簡単なもの。
ちょっと早めだったので、濾せるかどうか微妙だったんですが・・・
意外とたくさん濾せました(^o^)丿 2本分!
行ったのは先週だったので、今週だと、にごり酒にちょうどいいくらいだそう。
見た目はヨーグルトのような濃厚な液体。
アルコール分はほとんどなくて、酸味が利いたすっきりした飲み口。
口の中でシュワーっとした刺激があって、いかにも発酵途中だということがわかります。
今しか味わえないお酒の赤ちゃんでした。
kiina@能登スタイル金沢出張所
「あえのこと」は奥能登の農家の伝統行事。
”たのかみさん”(田の神様)に一年の豊作を感謝する独特な儀式です。
12月5日に、田んぼから神様を自宅に案内して、お風呂に入ってもらい
ご馳走を食べてもらう・・・
2月9日は、神様を田んぼにお帰り頂くため、再びご馳走やお風呂でもてなします。
先日、珠洲市若山の田中家でのあえのことを見学してきました。
田の神様は、目が不自由な夫婦と言われているので、
まず当主がご馳走の説明をします。
この時にお供えするのは、その家々で違いますが、
赤飯、ダイコン、魚や煮物なんかが並びます。
田中家の当主。
紋付袴の正装です。
この後、お風呂、囲炉裏で暖まってもらうという流れ。
目には見えない神様をもてなすのですから、
一見すると一人芝居のような感じで、不思議です。
今でも珠洲では、農家さんの6割が簡素化しながらも
自宅で続けているとも聞いています。
2009年にユネスコの世界無形遺産に登録されたこの行事、
能登半島という地形のためか、流出することなく、
生活の中で受け継がれてきた伝統として再注目されているのです。
最後は、田んぼに神様を送って、鍬入れするのですが、
田中家では、本来はこの田起きは9日から2日間、
神様に自宅で休んでもらった後の11日にするそう。
今回は、見学者のために9日にして頂きました。
雪深い・・・ホント、この日は大雪だったんですよ。
この後、あえのこと談義に参加するため、珠洲は三崎の典座さんへ。
モノクロの世界ですね。
坂本信子さんから、あえのことでの料理の説明をして頂きました。
坂本家も地主さんなので、昔からあえのことをするそうです。
魚は縁起物の出世魚ブリ。煮物や酢の物、和え物が並びます。
甘酒は田の神様の大好物のようで、米から作るので収穫に感謝するという意味と、
土地の境界を「甘く」見てほしい(年貢が少なくなる)という意味もあるそう。
そして、米づくり名人「すえひろ」の北風八紘さんを交えての食談。
昔は地主がこれで田んぼの作業の終了と開始のけじめとして
小作を集めていたとか。
終了が12/5だというのは、今から考えると遅い気もしますが、
昔は手作業。精米に至るまでのいろんな仕事があったそうです。
農地解放があり、今度は小作が地主がやっていたのを見よう見まねで行ったり、
出稼ぎに行く当主の代わりに留守を守る奥さんがやったりと、略式化されますが、
それでも、こんな古式風習が残っているのは、奥能登だけ。
貧しい時代は、このあえのことのご馳走が本当に楽しみだったそうです。
さて、田の神様は、12/5~2/9まで、家のどこにいるのか?
<家の隅っこで寝ているそうです・笑>
なんだか微笑ましい神様ですね。
kiina@能登スタイル金沢出張所
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